エギング用のリールといえば、ダブルハンドルのイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
多くのプロアングラーがダブルハンドルのリールを使用しており、メーカーのラインナップも「エギング用」と謳われているものはたいていダブルハンドルとなっています。
しかしなぜダブルハンドルなのか、その理由については論が分かれるところ。
この記事ではエギングにダブルハンドルが多用される理由と選び方を解説するとともに、おすすめの製品をご紹介します。
ダブルハンドルのエギングリールを使うメリット・デメリット
まずはエギングにダブルハンドルのリールを使うことで、どんなメリットとデメリットがあるかを見ていきましょう。
メリット
回転がスムーズ
なんといっても最大のメリットは、シングルハンドルに比べて回転がなめらかなこと。
ハンドルの回転軸に対して重量バランスが左右対称なため、遠心力によるブレが抑えられます。
このブレがあると、巻き取り中にティップやラインに余計な振動が伝わることで感度を下げてしまうのです。
エギングではリーリングでエギを操作することはほとんどなく、リールの主な役割はラインスラックを巻き取ること。
しかも、イカが乗るときのアタリはほとんどがフォール中に出ます。
ブレなくスムーズにたるみを巻き取ることで、シャクった直後(フォール姿勢に入った瞬間)のアタリに集中しやすくなることは大きな強みといえます。
勝手に回らず、どこでも止められる
遠心力によるブレが少ないことのもう一つの恩恵として、ハンドルを回転中のどの位置でもピタッと止められるということがあります。
シャクりの大きさによってラインスラックの量も変化するため、巻き取りもリールのハンドル1/2回転分、3/4回転分など細かく調整する必要が出てきます。
シングルハンドルだと位置によってはハンドルの重みで回転してしまうことがありますが、ダブルなら止めたいところで止めることができます。
ちょっとしたことなのですが、シングルからダブルに替えたときにストレスのなさに驚く人も多いポイントです。
ノブをつかみやすい
単純に、ハンドルノブが二つあることによって手探りでもつかみやすくなります。
ハンドルを持ったままシャクる人にはあまり関係ないかもしれませんが、片手でシャクる人にとっては大きなメリットになるでしょう。
とくに夜釣りでは、暗い中でもとっさにつかみ損ねるリスクを減らすことができます。
デメリット
ハンドルが短くトルクに欠ける
一般にダブルハンドルはパワーよりも繊細さを重視したセッティングのため、巻取りのトルクはシングルハンドルに劣ります。
良型の獲物とのやり取りでは、リーリングで強引に寄せるにはやや重く感じるでしょう。
オフショア向けの大番手のリールにシングルハンドルが多いのはそのためです。
自重が重い
ハンドルノブが二つになる分、当然ながら重さが増します。
持ち比べて大きな差を感じるほどの違いではないかもしれませんが、タックル全体のバランスに注意が必要でしょう。
とくにシングルハンドルで使用していたタックルのハンドルのみをダブルに変更した場合、ロッドを構えた際の重心位置が変化します。
エギングはロッドを大きく動かして操作するため、タックルの重心バランスは重要な要素。
リール単体だけでなくロッドとの組み合わせでバランスを取ることが大切です。
つかんでいない側のハンドルノブが服などに干渉する
リーリング中にハンドルの反対側が服にこすれたり、ストラップ類を引っ掛けてしまうことがあります。
とくに夜釣りや冬場に防寒着を着込んでいるときなどは、ちょっとしたトラブルで大きく時間をロスしてしまうことも少なくありません。
感じ方には個人差があると思いますが、動作の癖によってはストレスに感じる人もいるでしょう。
ダブルハンドルのエギングリールの選び方
番手(サイズ)
エギングには2000〜3000番台のリールが適しています。
迷ったら最初の一台は2500番を選びましょう。
エギングでは主に0.5〜0.8号程度のPEラインを使用します。
市販のPEラインは150mか200m巻きのものが多いため、それらが巻ききれるスプールサイズでなるべく小さく軽量なものを選ぶのがおすすめ。
また、必ずスプールが浅溝のタイプを選びましょう。
複数台購入するなら、陸っぱりでの秋イカには2000番、オフショアで春イカを狙うなら3000番といった使い分けも良いでしょう。
重量
基本的には軽いほうが扱いやすいですが、ロッドとのバランスも重要です。
バランスの面でポイントとなるのは以下の2点。
- ロッドとの重量差が大きすぎない方が良い
- 重心が手元からやや先端よりにくるのがおすすめ
極端にロッドとリールのスペック差があると扱いにくくなってしまうため、中級機同士を合わせるなど価格帯をそろえると良いでしょう。
また、重心が先端によりすぎるとシャクる動作での疲労が大きくなります。
実際にロッドにリールをセットして持ってみたとき、しっくりと手になじむ組み合わせを選ぶのがおすすめです。
ハンドルの長さ
ハンドルの軸からノブ(持ち手)までの長さは50mm程度が標準で、エギングでは標準程度の長さで問題ありません。
基本的にダブルハンドルはやや短めが使われるため、標準装備のハンドル長は45mm前後が多くなっています。
カスタムハンドルのなかには50mm以上のものもあり、巻き取り力を重視するならそちらを選ぶのも良いでしょう。
ダブルハンドルのエギングリールおすすめ10選
シマノ17 セドナ C3000DH
実勢価格5,000円台という安さながら、ダブルハンドルかつ中級機にも負けないスペックを持っています。
できるだけ安くそろえたいという人におすすめのリールです。
ただ、セドナのダブルハンドルモデルには浅溝スプールがラインナップされていません。
そのままだとPEラインには下巻きが必要になるため、シマノから発売されている「エコノマイザー」を使用すると良いでしょう。
11バイオマスターC3000用のエコノマイザーがそのまま流用でき、装着するとPE0.号を200m巻ける、エギングに最適な深さのスプールになります。
エコノマイザーは300円程度で購入できますので、セットで使用すれば低価格帯ではコスパ最高のエギングリールとなります。
ダイワ20 レブロス LT3000S-CH-DH
ダイワの高性能エントリー機で、かなりの人気機種です。
セドナよりもやや価格は上がりますが、その分ワンランク上のスペックを備えています。
自重、ドラグ力、ベアリング数ともセドナを凌ぎますが、もっとも大きく体感できるのは自重による違いでしょう。
セドナは275g、レブロスは240gと、その差は35g。
持ち比べると明らかに「軽い」と感じることができるだけの差があるため、軽さを重視するならこちらがおすすめです。
また、最初から浅溝タイプのスプールがセットされていることもポイント。
シマノセフィアBB C3000SDH
シマノのエギング用リールのラインナップ中、もっともリーズナブルなモデル。
セフィアシリーズ独特のカラーリングとなめらかな巻き心地が特徴です。
エギング専用モデルの実力を試したい人におすすめ。
ダイワ19 エメラルダス LT2500S-DH
ダイワのエギング専用タックル「エメラルダス」シリーズのエントリー機です。
ライバル製品といえるセフィアBBとのスペック差はわずかなため、デザインの好みで選んでも良いでしょう。
やや剛性に劣る感があり、春イカの大物狙いには向かないかもしれません。
シマノ20 ヴァンフォード C3000SDH
コスパに優れる中級機の人気機種であった「ストラディックCI4+」の後継機種。
軽量なカーボン樹脂素材CI4+をボディとローターだけでなくダブルハンドル部にも採用し、180gという軽さを実現しています。
ダイワ20 ルビアス LT2500S-DH
ダイワのカーボン樹脂素材ZAIONを使用し、こちらも185gという軽量さが売り。
ビス留めのないモノコックボディをZAIONで初めて採用したモデルです。
モノコックボディの剛性によって大径ギアの搭載を可能にし、巻き上げ力も向上しています。
シマノ21 セフィア XR C3000SDH
シマノのエギング専用機であるセフィアシリーズの最上位に位置するリールです。
上でご紹介したヴァンフォードと比較してスペック上の差はほとんどないように見えますが、ドラグ性能に違いがあります。
セフィアXRはエギングに特化しているため、素早いコントロールと剛性が求められるドラブ部分に「ラピッドファイアドラグ」「リジッドサポートドラグ」を採用。
細かい部分ではありますが、ロッドとともにセフィアシリーズでそろえるならこちらがおすすめです。
ダイワ21 エメラルダス エア FC LT2500S-DH
ダイワのエギング向けフラッグシップモデル。
軽さを重視した秋イカ向けのFC(フィネスカスタム)モデルや、素早い巻き取りを可能にするエクストラハイギアもラインナップされています。
自重はシリーズ最軽量の175gを実現しており、エギング専用タックルの最高峰と言って良いでしょう。
シマノ19 ヴァンキッシュ C3000SDH
最上位モデルのステラに迫るほどの性能を備えながら、価格の上では4万円以上安く購入できる上級機。
ステラよりも軽量である点など、むしろエギングへの適正はこちらの方が高いとも言えます。
アブガルシアゼノン 2500S
148gという脅威の軽さを実現した、アブガルシアのフラッグシップ機です。
標準ではダブルハンドルのラインナップはありませんが、純正のAbu Works製カーボンダブルハンドルに換装すれば軽さを保ちつつダブルハンドル化が可能。
まとめ
エギング用のリールは「自重の軽さ」と「ドラグ性能」が重要になります。
ご紹介した10製品は、どれも同価格帯のなかでは間違いなくコスパに優れており、エギングへの適性が高いものを選びました。
予算に合わせて納得のいくタックルをそろえ、エギングを楽しむ手助けになれば幸いです。
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